本日初雪が降り、仕事終わりに妻と娘とお散歩に行って参りましたでかまるです。
大分寒くなってきたなーなんて思いながら、ただいま執筆しております。ちなみに、節約のため暖房はなしです泣
さて、今回は私の前職である音楽隊についてですね。私もずっと憧れていてやっとなれたものでした。
同じように憧れを抱いている人のためにノウハウをお伝えできればと考えています。
そもそも自衛隊の音楽隊って?
まずは自衛隊の音楽隊がどんなものなのか、ご説明致します。
自衛隊はご存じの通り陸上・海上・航空の三つがあります。ちなみに、私は陸上自衛官でした。
そして、それぞれに職種があり、陸上でいうと、所謂歩兵部隊の普通科や戦車などに乗る機甲科など、自衛隊らしい職種の他、衛生科や会計科などもあります。
その中の一つに、音楽科という職種が陸・海・空のそれぞれにあるのです。
陸上自衛隊は21個、海上自衛隊は6個、航空自衛隊には5個の音楽隊があります。
音楽隊の主任務は3つあります。
- 「広報のための演奏」
- 「隊員の士気高揚のための演奏」
- 「式典のための演奏」
3つ目の式典のための演奏は、先日行われた安倍元首相の国葬においての演奏などがあげられます。あれは、陸上の中央音楽隊が担当していましたね。
またこの他に、陸上には「必要に応じ指揮所の警備」、航空には「国際的な活動
があります。
音楽隊とは、自衛官と音楽のプロフェッショナルという2つの顔持ち、公に奉仕する部隊なのです。
一つ注意して欲しいのは、今ご紹介した専任音楽隊の他に、兼任の音楽隊も存在するということです。例えば陸上でいうと、「富士学校音楽隊」や各駐屯地の音楽隊があります。
彼らは職種が音楽科ではなく、主任務も音楽ではありません。感覚としては、部活動のようなものだと捉えてしまってよいと思います。
普段は自衛官として訓練に参加し、課外の時間などを利用して練習している人たちです。彼らは、専任である音楽隊が手の届かない部分を補ってくれていて、必要不可欠な存在になっています。
公務員の音楽隊
音楽をしつつ公務員として活躍できる音楽隊は、自衛隊以外にも存在します。
「警察音楽隊」「消防音楽隊」「海上保安庁音楽隊」などがあり、その他に皇居の警備をすつつ音楽活動をする「皇宮警察音楽隊」などもあります。
それぞれの音楽隊に特性があります。
警察は、まず警察官になって交番勤務を経て、そこから適正を見極められて音楽隊になります。
どれだけ上手い人でもタイミングが合わなければ音楽隊になれなかったり、逆にほぼ素人なのに音楽隊に配属になったりすることもあるそうです。
最近映画化された「異動辞令は音楽隊!」についても、実話に近いものがあるらしく、長年刑事として勤めていたのに急に音楽隊、なんてこともあるそうです。
消防音楽隊は、現在予算削減のためほとんどが「嘱託員」という正規の消防官でない人たちで構成されているようです。
消防官としての音楽隊の募集は、今やっていないんだとか…。
また、嘱託員は任期があるようで、どれだけ長くても5年程度らしいです。
そのため若い人が多く、また消防官でないため音楽に関する業務しかないそうです。
しかし5年というのも、中々に短いですね…。
その他の音楽隊については、今回は割愛させていただきます。
自衛隊の音楽隊に入るためには技能試験をパスしなければなりませんが、逆にいうと試験に受かれば必ず音楽隊員として活躍できます。
警察では、入ってから音楽隊員になれるかどうかわかるのですが、「せっかく警察に入れたのに音楽隊員にはなれなかった」という可能性があります。
そういった意味では、少しリスキーですよね。
その面、自衛隊の音楽隊は入隊前に音楽隊への配属が約束されますので、安心です。
また自衛隊であれば、入隊後も教育と試験があるのですが、それさえ乗り越えてしまえば定年まで働けますし、陸・海・空と種類があって特に陸は部隊が全国各地にあって、自分の地元で働ける可能性もあります。
こういった面から見ても、自衛隊の音楽隊が人気なのも頷けてしまいますね。
音楽隊に応募するには
まず、自衛官になるために「一般曹候補生」か「自衛官候補生」の試験を受けなければいけません。この違いについては、後日説明致します。
この試験は高校卒業資格があれば受けられますし、比較的難易度は低いと思います。
国公立の教育大学に進学していた私は、特に勉強の必要はありませんでしたが、稀に落ちる人もいます…。
ですが、本当にごく稀にというレベルなので、今現在勉強に自信がない人でも、しっかりと対策をすれば必ず受かりますので、そこは安心して大丈夫です。
そして、音楽隊員になるために「説明会」に参加しなくてはなりません。説明会と聞くとお試しみたいな感じに思えますが、これはがっつり技能試験です。
この説明会って名目変えて欲しいですよね。まあ、そうせざるを得ない理由があるのですが…。
この2つの試験を通過して、初めて音楽隊員になることができます。
自衛官の試験の2つは年に何回か実施されていますが、音楽隊の説明会は9月の末の年に1度しかありません。
音楽隊の試験に合格できた場合は、12月から1月に通達されます。
音楽隊の合否がわかる前に自衛官の試験を受けていてもいいし、合格がわかってから試験を受けることも可能です。
私的には、自衛隊の試験に受かって音楽隊の試験に落ちてしまって、入隊したくなければ入隊しないという選択もできますので、先に受けておくことをオススメします。
せっかく音楽隊の試験に合格したのに、自衛官の試験で滑ってしまってはもったいないですからね。
試験に応募する方法ですが、インターネットで調べて自分が住んでいるところの近くの地方協力本部に問い合わせてみてください。広報官という人たちが対応してくれます。
自衛官ですが、とても親切で優しい方々で、丁寧に対応してくれるはずですのでご心配いりません。
そうすると試験について詳しいことを教えてくれます。
自衛官の試験内容については、毎年だいたい同じなので自分で調べてもわかります。
しかし、音楽隊の試験内容は技能試験があるという程度の情報で、実際の試験曲などの詳しい情報はわかりませんし、毎年試験内容が変わります。
そのため、広報官に確認しない限りわかりませんので、ご注意ください。
もし、少しでも「音楽隊に興味がある」という人は、試験内容を確認するだけでも意味がありますので、早めに広報官にご連絡ください。
また、もし試験のために音楽隊員のレッスンを受けたいということがあれば、広報官に相談をして、音楽隊の都合が合えばレッスンをしてくれることもあります。
私も試験の前に、一度レッスンを受けさせていただきました。
もし希望するのであれば、それも含めて広報官にお伝えください。
ここで、ビッグニュースがあります。この自衛官の試験と音楽隊の試験の2つ、どちらも基本無料で受けることができます。
しかもなんと、試験代だけではなく、遠方へ試験を受けに行かなければならないという場合であっても、広報官が送り迎えまでしてくれます。
ただし、あまりに遠方のため前日から試験会場に向かい、宿泊しなければならないときは、宿泊費のみ実費になります。
それ以外の場合はほぼタダですので、本当に「受けるだけタダ」なので、是非挑戦してみて欲しいと思います。
また、自衛隊には幹部枠もありますが、幹部の場合「指揮者」としての素質が問われます。
今回は主に「奏者」として活躍したい人のためのお話になっているので、幹部の場合は試験内容や入隊後の活躍の仕方もまったく別です。
それについては、また別の機会にお話しようと思います。
音楽隊に入るための実力
さて、次に気になるのは、「自分でも音楽隊員になることができるのかな?」ということではないでしょうか。
先ほどご紹介した公務員の音楽隊の中で、自衛隊の音楽隊は最もレベルが高いと言われています。
陸・海・空でそれぞれ違いはありますが、難易度としてはほぼ同等です。
しかし、陸が他と比べて部隊の数が多く、海・空の方が合格人数が少なく、倍率が高い傾向にあります。
また、「特別職国家公務員」ということで安定性も高く、非常に人気の高い職業になっています。
そのため全体的に倍率が高く、受ける人の多くが音楽大卒です。
しかも、無名の音大ではなく、東京藝術大、東京音楽大、武蔵野音大、国立音大、名古屋芸術大…などなど、著名な音大を出ている人が多数います。
非常に狭き門です。
しかしながら、私のように一般卒であったり、高卒で音楽隊に入る人もいます。
そういった人は大抵、「部活でやっていた」だけではなく、プロの方にレッスンを受けている人や、高校に普通科でなく音楽科がある人などが多いです。
私の経験上、「楽器は部活でやっているだけで、個人的に誰かに教わったことはない」という人は、音楽隊に一人もいません。(技能試験がなかったころは、そういう人もいたそうです)
なので、もし本当に自衛隊の音楽隊に入りたいと考えているのであれば、今すぐにプロの方にレッスンをお願いするべきです。
レッスンを受けて高卒のまま入隊するのか、一度音大に入ってから入隊するのか。
それはご自分で決めていただいて結構ですが、プロのレッスンを受けるのは必要不可欠です。
そして、それにはある程度お金がかかります。バイトをできる人は一生懸命働いてお金を貯めつつ練習をしなければなりません。
まだ働けない歳の人は、早めに保護者の方に相談してください。
もしどうしても金銭的余裕がなく、レッスンを受けることができないという人は、でかまるにご相談ください。このブログのコメントでもいいですし、TwitterやInstagramでDMを送っていただけたら、ご相談に乗ります。
終わりに
元陸自の音楽隊員である私の説明はいかがだったでしょうか?
実際に入隊しているからこそわかる試験の難易度であったり、少し厳しい現実をお話させていただきました。
はっきり言って、簡単な試験ではありませんし、私も大学2年生のときに受験し、一度落ちています。
しかし、誰にでもチャンスはあります。私だって、その後2年間努力し入隊できたのですから。
今回お伝えした「すぐにプロの先生にレッスンを受ける」ということさえ実践できれば、可能性はあります。そこが、分かれ道です。
「明日やろうはバカやろう」ですよ。
皆さんが夢に向かって一歩進み、つかみ取る手助けになればいいなと思っています。
さて、次回は「基礎練習」をテーマにしていこうと思います。
このテーマはとても大きいものなので、何回かに分けて取り扱っていくつもりなので、お触り程度だと思っていてください!
それでは、お楽しみに!
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